Jokanスクール(3回目)を受講しました
こんにちは。歯科衛生士の沖舘です。
雨に濡れた紫陽花の風情ある姿が楽しめる季節になりましたね。そんな季節は、一年の半分が過ぎようとする時期で時の流れのはやさに驚きを感じています。
さて、先日Jokanスクール第3回目の講習を受講しました。
今回は上間トーク(Jokanスクール校長の上間京子先生のお話)のなかであったお話を書こうと思います。
今年のJokanスクールのテーマ(毎年テーマが変わります)は「歯科衛生士の歴史を振り返りつつ、前に進む」というテーマです。毎回このテーマにそって上間トークがあるのですが、先日のスクールで『職の発生から興味をもつこと』というお話があり、私なりに調べてみましたのでそれを書きたいと思います。
18世紀のフランスに、初めて”歯科医”と名乗った人物が現れました。それが【ピエール・フォシャール】という人物です。
彼は歯科医学の祖を築いたとされていて
・初めての矯正歯科医
・初めて上顎総義歯(上の入れ歯)の作成
・初めて歯周治療(歯周病の治療)を行う
・初めて歯牙移植(抜いた歯を違う部位へ移植すること)を行う
等々さまざまな事を行ったそうです。
“近代歯科医学の父”とも称されています。
ピエール・フォシャールが現れるまでの歯科治療は抜歯が中心でした。抜歯の他に痛みを和らげる処置として、むし歯に薬草をつめるのみでした。医療というよりは見世物や大道芸に近く、歯科医はトラベル・デンティストと呼ばれたそうです。
この時代(18世紀)にはまだ麻酔はありませんでした。麻酔をしないで歯を抜くなんて、想像しただけで痛々しいですね。それに比べ、現在は痛くない治療が当たり前ですから、医学の進歩・人間の知恵とは素晴らしいと思います。
当時、歯科治療を生業とするものには知識や技術の基本となるものはなく独自の経験にのっとり秘法・秘術として受け継がれていました。
ピエール・フォシャールはこの秘法・秘密を守るという慣習を破り、世間に公開しました。基礎医学や臨床理論に立脚した診療体系を確立し、それを書籍化して1728年に『歯科外科医』という本を刊行しました。
当時、むし歯の原因は小さな虫(歯虫と呼ばれていたそう)が原因と考えられていました。しかし、ピエール・フォシャールはむし歯の発症には砂糖が強く関与することを提唱していました。
その8年後の1746年に新しい研究成果を追加した第二版を刊行しました。新しい研究とは、補綴<ほてつ>方法(かぶせ物)と歯周病についてです。これは、歯周病について記述した初めての歯科医学書とされています。
ピエール・フォシャールは、うがい薬にはレモンやザクロの干した皮、ケシの実、ブランデーやブドウ酒、香料などを加え、これを指やスポンジで歯や歯ぐきをこすり、うがいをすると歯が骨の中でしっかりする効果があると書いています。食後にぶくぶくうがいをすれば、歯についた食べカスを洗い流すことができ、その際、水にうがい薬を入れると、殺菌効果が得られ歯肉炎や口内炎の改善にもつながると述べていました。
こんな昔から、むし歯や歯周病に悩まされ痛い思いをした方々がいたんですね。また、医学の進歩した今でも、むし歯や歯周病に悩まされている方が多いことがショックに感じました。
歯科に携わる者として、少しでも多くの方がむし歯や歯周病で悩まないで健康な方が増えてくれたらと願うばかりです。その為にも、日々の患者さまとの関わりで歯の大切さやメンテナンスの大切さを伝えていかなければと改めて思いました。