精密根管治療

精密根管治療とは

「根管治療(こんかんちりょう)」とは、重度の虫歯を改善するために行う歯の神経の治療です。
歯の根の中にある神経や血管の入った管を「根管」と言い、この根管は重度の虫歯になると虫歯菌に冒されてしまいます。そうなった場合、抜歯が必要になることもあり、抜歯後は入れ歯やブリッジやインプラントを入れるなどして、かむ機能を回復させることができますが、本物の歯に勝るものはありません。できるだけ自分の歯を残すほうがいいのです。

歯の治療でこんなお悩みはありませんか?

  • できることなら
    抜歯はしたくない

  • 歯に痛みを感じてから
    放置してしまった

  • 虫歯治療を終えたのに
    痛みが治らない

  • 従来の根管治療は虫歯の再発率が高いと言われていました。
    あらゆる工夫を凝らした「精密根管治療」で、自分の歯を出来る限り残すことができます。

    従来の根管治療の成功率が低い理由

    根管内は複雑な形態をしている

    根管は複雑な形態をしており、完璧な治療はまず不可能と言われています。肉眼では見えないような歯の暗く深い部分で、とても細い管がいくつも枝分かれしているため、従来の根管治療では「歯科医師の勘」に頼るしかありませんでした。
    いかに「よく見て」「リスクを減らして」「勘に頼らず」治療できるか、当院では様々な工夫を凝らして精密根管治療を行っています。

    虫歯の再発が歯を失うことに繋がる

    虫歯菌を完全に取り除くことができなければ、一見虫歯の治療が完了したように感じても、歯の中であっという間に虫歯菌が広がり、虫歯が再発してしまいます。また、小さな隙間から外部の細菌が侵入して虫歯を引き起こす可能性もあります。
    このように、治療の精度によっては歯の中に虫歯菌が繁殖しやすい環境を作ってしまうということになりかねません。そして再発した虫歯は、以前よりも歯を削る必要があり、歯を失う原因となるのです。

    精密根管治療の症例紹介

    精密根管治療

    下の前歯に違和感・腫れぼったい感じがある

    before

    after

    通院時の年齢43歳
    性別女性
    通院回数5回
    通院目的違和感・腫れの改善を希望
    処置内容あってないかぶせ物を除去し精密根管治療(マイクロエンド)を行う。MTAにて根管充填後セラミッククラウンを装着。
    費用精密根管治療(マイクロエンド)・セラミッククラウンによる補綴(ほてつ)治療とあわせて約30万円
    デメリット神経のない失活歯のため神経のある歯に比べて歯根破折のリスクが有る 再発・再治療になる可能性もゼロではない
    備考治療期間は3~4ヶ月 根管充填後3ヶ月で病変の縮小、1年3ヶ月後に病変の消失確認
    精密根管治療

    下の奥歯がかむと痛い時がある。違和感・腫れぼったい感じがある

    before

    after

    通院時の年齢48歳
    性別女性
    通院回数8 
    通院目的他院では抜歯と言われたが残せるなら残したい
    処置内容あってないかぶせ物を除去し虫歯・感染歯質を徹底的に除去したあとで隔壁作成を行い、精密根管治療(マイクロエンド)を行う。根管清掃後にMTAにて根管充填。その後レジンにて支台築造を行い、セラミッククラウンを装着。
    費用精密根管治療(マイクロエンド)・セラミッククラウンによる補綴(ほてつ)治療とあわせて約38万円
    デメリット神経のない失活歯のため神経のある歯に比べて歯根破折のリスクが有る  再発・再治療になる可能性もゼロではない
    備考治療期間は3~4ヶ月 根管充填後6ヶ月で病変の縮小、1年後に病変は更に縮小を確認
    精密根管治療

    下の奥歯をかむと痛い。ずっと腫れぼったい感じあり。「瘻孔(ろうこう)・フィステル・サイナストラクト」あり。

    before

    after

    通院時の年齢50歳
    性別男性
    通院回数8回
    通院目的他院では抜歯と言われたが残せるなら残したい 
    処置内容あってないかぶせ物・金属ポストを除去し虫歯・感染歯質を徹底的に除去したあとで隔壁作成。その後に精密根管治療(マイクロエンド)を行う。根管清掃後にMTAにて根管充填。その後レジンにて支台築造を行いセラミッククラウンを装着。
    費用精密根管治療(マイクロエンド)・セラミッククラウンによる補綴(ほてつ)治療とあわせて約35万円
    デメリット神経のない失活歯のため神経のある歯に比べて歯根破折のリスクが有る  再発・再治療になる可能性もゼロではない
    備考治療期間は3~4ヶ月 根充時に病変の縮小、1年後に病変の消失を確認
    精密根管治療

    かむと痛い感、慢性的に腫れた感じあり。歯根中央部のパーフォレーション(穿孔)、根尖部に病変を認める。

    before

    after

    通院時の年齢30歳
    性別女性
    通院回数7回
    通院目的根の治療を他院にて行ったが改善傾向が見られないため転院により当院を受診。
    処置内容しっかりと封鎖されてない仮封を除去し虫歯・感染歯質を徹底的に除去したあとで隔壁作成を行い、精密根管治療(マイクロエンド)を行う。根管清掃後にMTAにて穿孔封鎖(パーフォレーションリペア)・根管封鎖。その後レジンにて支台築造を行いセラミッククラウンを装着。
    費用穿孔封鎖(パーフォレーションリペア)を含む精密根管治療(マイクロエンド)・セラミッククラウンによる補綴(ほてつ)治療とあわせて約38万円
    デメリット神経のない失活歯のため神経のある歯に比べて歯根破折のリスクが有る  再発・再治療になる可能性もゼロではない
    備考治療後1年で病変の消失、穿孔部の改善が認められる

    当院の精密根管治療の特徴

    Point01より正確な診断を行う「歯科用CT]

    根管の状態や形態を3次元的に把握するために必要に応じてCTを撮影します。レントゲンよりもより正確な情報を見ることができるため、「見た目では問題がないのに痛みがある」等の原因を特定できる場合があります。
    ※必要に応じて使用します。全症例に使用するわけではありません。

    Point02外部の細菌を患部に入れ込まない「ラバーダム」

    根管の内部を清掃しているときには、新たに細菌が侵入することを防ぐ必要があります。しかし、治療部位に唾液が流れ込むと、唾液と一緒にお口の中に存在する多数の細菌が入り込むので、状況として思わしくありません。ラバーダムはこのような事態を避けるためのゴム製のシートです。治療する部分以外をすっぽりと覆い隠すので、治療している根管に細菌が侵入することを防ぎ、根管治療の成功率向上に大きく貢献します。

    Point03肉眼で見えない場所もよく見える「マイクロスコープ」

    根管は非常に細く、曲がりくねっているので、肉眼で内部を確認することができません。そのため、当院ではマイクロスコープを使用して、内部を照明で明るくしながら拡大し、確実に感染を取り除きます。

    マイクロスコープの拡大視野は5~20倍

    歯科医院では、一般的に「拡大鏡(メディカルルーペ)」を使っているケースがほとんどだと思いますが、「マイクロスコープ」は視認倍率が5~20倍と格段に高く、得られる視野もはるかに鮮明です。

    肉眼

    拡大鏡

    マイクロスコープ

    なぜ「見えること」が大切なのか?

    当院が「マイクロスコープ」を導入したのは、患者さんに正確で質の高い治療を提供するためです。患者さんにとって一番良い治療を提供することは、歯科医師として当然であり、医療従事者の使命だと考えています。マイクロスコープを使用することで治療の精度が上がります。

    • 正確性の向上

      患部を拡大して「確認しながら治療」ができるため、効率的でより正確な判断や処置ができます。

    • 精密性の向上

      虫歯の兆候や、根管内部の状態がわかるため、病気のリスクを見逃しにくくなります。

    • 負担の軽減

      しっかりと見ながら治療ができるため、再治療のリスクを減らすことができます。

    その差は、メディカルルーペが虫眼鏡なら、マイクロスコープは精密顕微鏡といってもいいほどで、根管治療のようにデリケートな治療を行うときには絶大な効果を発揮してくれるのです。これは歯科医師にとっては大幅なストレス軽減につながるわけですが、そのことで結果的に治療精度も高まり患者さんにとっても従来よりも良い治療が提供できます。
    当院では、レンズが非常に優れていること・製品としてのバランス・使い勝手・操作性が良いことが特徴のカールツァイス社のマイクロスコープを使用しています。

    Point04虫歯の取り残しゼロを目指す「ニッケルチタンファイル」

    ファイルとは、歯を細く掘削するため治療器具です。ドリルのような役目です。
    当院ではファイルの中でもしなやかに曲がり、歯の神経に対応するNi-Ti(ニッケルチタン)ファイルを取り入れています。ファイルの種類だと他に「ステンレスファイル」がありますが、ステンレスファイルに比べて、細く複雑な形をした根管内にしっかりとフィットするため、感染源をしっかりと除去することができます。

    Point05隅々まで根管充填できる「バイオセラミックセメント(MTA)」

    バイオセラミックセメント(MTAセメント)は、根管内を清掃した後に詰める根管充填材です。根管充填材として通常使われているガッタパーチャよりもはるかに生体親和性の高い、MTA系の根管充填用シーラー・根管充填材です。
    硬化膨張することによって隙間ができにくいこと、歯を構成する象牙質と接着することで歯質が強化され破折リスクが下がること、生体親和性が高いこと、殺菌効果もあることなどのメリットがあります。
    ※保険診療では使うことが出来ません。

    精密根管治療の流れ

    Step01
    診査・診断

    問診やレントゲン、視診を行います。必要に応じて歯科用CTで撮影します。

    Step02
    局所麻酔

    局所麻酔を行います。ちくっとしますが一瞬で終わります。

    Step03
    虫歯の除去

    虫歯の部分や、以前の詰め物などを綺麗に除去していきます。

    Step04
    う蝕検知液を使用して虫歯の取り残しを確認

    虫歯の取り残しが無いか確認しながら虫歯を除去します。削っていくと、歯の神経(歯髄)が露出してきます。

    Step05
    ラバーダム防湿を装着

    細菌が入らないように歯を囲います。歯肉縁下まで虫歯がある場合は隔壁作成後に行います。

    Step06
    虫歯除去後、
    レジンで歯の隔壁を作る

    コンポジットレジンで歯の隔壁を作り、根管治療の準備を行います。

    Step07
    ニッケルチタンファイルで根管内の虫歯菌を除去

    ニッケルチタンファイルを使用して、根管内の感染源を徹底的に除去していきます。

    Step08
    根管内の清掃後、
    MTA充填

    根管内をきれいに清掃したら、隅々までMTAを充填します。

    Step09
    被せ物の型取り・装着

    精密根管治療を終えたら、人工歯を装着します。治療後は定期メインテナンスを受けましょう。

    精密根管治療のメリット・デメリット

    Merit

    • 重度の虫歯でも歯を抜かずに済みます。
    • 従来の根管治療に比べて再発がしにくい治療方法です。
    • 1回の治療時間は長いですが、通院回数は少なくすみます。
    • 歯を残せるので、自然な見た目を維持できます。

    Demerit

    • 虫歯の大きさ・広がり・状態、その時の治療時間によって、治療回数は異なります。
    • 元々、詰め物や被せ物が装着されている歯の中で虫歯が大きく広がっている場合は詰め物(レジン充填やインレーなど)ではなく、被せ物(クラウン)が必要となることもあります。
    • 1回あたりの治療時間は90~120分で患者さんの負担が大きいです。
    • 保険適用でないため、費用がかかります。

    精密根管治療の費用

    充填・修復・補綴物・ポスト除去 隔壁作成 ¥22,000~¥44,000
    精密根管治療(マイクロエンド) 前 歯 ¥44,000~¥99,000
    精密根管治療(マイクロエンド) 小臼歯 ¥66,000~¥121,000
    精密根管治療(マイクロエンド) 大臼歯 ¥77,000~¥154,000
    MTAを使用した穿孔封鎖(パーフォレーションリペア) ¥11,000~¥33,000
    根管内破折器具(ファイル)除去 ¥11,000~¥33,000
    外科的歯内療法 ¥33,000~¥77,000
    MTA(材料費) ¥11,000

    ※全て税込みとなります。
    ※『抜髄(≒Initial treatment)』と『感染根管治療(≒Retreatment)』では難易度が違うため治療費が異なります。
    ※保険の範囲内での根管治療は、初回を除き原則として30分とさせていただきます(自由診療の根管治療は原則として60~120分)。

    根管治療後はメインテナンスを

    根管治療は再発率が高いと言われている治療法です。精密根管治療を行っても、治療後のメインテナンス不足だと虫歯の再発率は高まります。
    毎日のブラッシングと合わせて、定期的に歯科医院でメインテナンスを行いましょう。

    ご予約・お問い合わせ

    当院は、完全予約制です。

    Tel. 054-260-6655ご予約・お問い合わせ
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