歯周病治療のセミナー(JIPI)を受講しました
勤務医の森川です。今回は6月10、11日に大阪で行われたJIPIについてのお話になります。
今回はこれまで習ってきた歯周病治療の計画・立案や歯周外科治療に必要な解剖、組織学的な知識のまとめやインプラント治療に必要な技術、知識のまとめなど総括的な内容でした。また、咬合(咬み合わせ)について大阪で開業されている大谷 昌先生と京都で開業されている杉元 敬弘先生の講演を伺いました。
かみ合わせについては毎日診療を行っている上で非常に難しい問題であると感じています。
「咬み合わせ」といっても歯の問題なのか、それとも顎の骨の問題なのか、また顎の関節(顎関節)にも問題が生じているのか原因は様々考えられ、時には問題が複合すると更に複雑になっていきます。
難しい問題がある咬み合わせのひとつとして挙げられるのが上の前歯と下の前歯が咬んでおらず、奥歯でしか接触していない「開咬(かいこう)」と呼ばれる状態の場合です。
基本的に人間は前歯が12本、奥歯(小臼歯が8本、大臼歯が8本(親知らずを含めないで))16本の合計28本が存在します。理想的な咬み合わせの場合、上の歯と下の歯がきちんと咬みあうことで機能を果たすことができ、また前歯と奥歯は互いに補いあって存在する関係でもあります。
開咬では程度の差はありますが状況が悪い場合では大臼歯しか咬んでいないということもあります。
本来であれば28本の歯で機能するはずが開咬では奥歯に負担が集中してしまうため、奥歯に虫歯や歯周病の進行、また根管治療を受けている歯では歯根破折など何かトラブルを抱えているということに遭遇することが多いと言えます。
歯を単独で考えた場合の虫歯の治療や歯周病の治療は可能かもしれませんが、長期的な予後を期待するためには虫歯や歯周病のリスクを高めた原因のひとつである開咬という咬み合わせを改善することも考えなければなりません。
開咬の場合、矯正治療を行う必要がありますが、骨格に問題がある場合は外科的な矯正治療も併せて行うこともあり非常に大掛かりな治療になってきます。
そのためなかなか矯正治療までは行えないというケースが殆どで、こうした状況の方に対し何ができるのか非常に頭を悩ませておりましたが今回の大谷先生、杉元先生のお話を伺い解決の糸口をつかめそうだと感じとても有意義な回になりました。
これまで講演や実習で知識や技術について学んできましたが、学んできたことも実践し修練しなければなりません。
6月、7月と連休を頂きJIPIの主催者である京都の牧草先生の医院に見学に行かせて頂きました。
お話を伺うのと実際に治療を拝見するのでは学べることに大きな違いがあります。ひとつひとつを糧にしてこれからも研鑽していきたいと思います。