6㎜以上の歯周ポケットを歯周基本治療できっちり治す
こんにちは。歯科衛生士の岩﨑です。最近は、天気の悪い日が多いですね。それと共に、朝晩は涼しくなり秋の気配を感じられるようになりました。夏が終わっていくのが寂しくも感じられますが、実りの季節の秋も楽しみですね。
さて先日、アシスタントの深澤と研修会に参加してきましたので報告させていただきます。
今回は、長野県長野市で開業されている谷口威夫先生が講師としてお話ししてくださいました。『6㎜以上の歯周ポケットを歯周基本治療できっちり治す』と題して、先生が歯周治療を始めてから患者さんを通して学んできたことや、現在の治療の流れなどを実際の症例を交えながらお話ししてくださいました。
谷口先生は、”トータルから口を診る”という信念のもと患者さんの困っている場所だけでなく全体的な治療をするようむし歯治療から歯周病の治療やインプラントなど幅広く診療されています。
谷口先生は今から42年前の1974年、当時ボストン大学教授のHnry.H.Goldman先生の講演会を聞いたことこきっかけに本格的に歯周治療を診療に取り入れてこられたそうです。
その頃はまだ手探りの状態で治療していたそうで、患者さんから学ぶことがとても多かったそうです。
先生が患者さんから学んだこととしてあげていたことは、
“歯の根面がきれいになり、ブラッシングがきちんとされていれば歯周病は治る”、”歯槽骨は再生する(歯槽骨とは歯を歯ぐきのなかで支えている骨のこと)”、”長い上皮性付着をつくる(付着上皮による歯面への付着)”などです。
実際の患者さんの症例も見せてくださり、約40年前の初診時の状態と40年後の現在の状態のレントゲン写真や歯周ポケットの数値、口腔内写真はとても説得力のあるものでした。
お話しの中で“歯の根面がきれいになり、ブラッシングがきちんとされていれば歯周病は治る”という言葉が印象的でした。やはり、歯周治療の基本は歯石をきちんととること。
歯石がきっちりとれることが重要だと、症例を見て再確認しました。
谷口先生の医院では、SRP(スケーリング ルートプレーニング:歯石をとり、歯の根面を滑らかにすること)の練習を診療後にされていて先生自身も何日も前からブラッシングせずにいて練習台になっているとお話しされていました。
また、SRP時に使用するスケーラーはきちんと研いだもので刃がきれる状態のものでなければならないともおっしゃっていました。私も日々のSRPの練習は欠かせません。
スケーラーも使用後は滅菌して、必ず刃を研ぐようにしています。自分の日々行っていることが間違っていないと、確信もできました。
それから、ブラッシングをきちんとできるようにすることも大切とお話しされていました。
私たちがいくら歯石をとりきれいにしても、患者さんがやる気がなければ意味がないこと。
こちらが、きちんとお話しをして患者さんの意識を変えるようにしなければいけないことが大切と教えてくださいました。
私も日々の診療で、歯周病の治療をしなければいけない方には治療についてやブラッシングについてお話しをしています。その日からブラッシングを頑張ってきてくださり、お口の中が健康的になっていく方もいます。
しかし、私の説明では心が動かされない方も中にはいらっしゃいます。そんな時は自分の力不足をいつも感じてしまいます。先生のお話しを聞き、技術だけでなく患者さんへの説明ももっと上手くなれなければいけないなと思いました。
歯周治療が終わる頃までにブラッシングがきちんとできるようになれば、あとは身体が治してくれます。
ブラッシングをしてプラークを除去できていれば、”歯槽骨が再生する”、”長い上皮性付着をつくる→やがて結合組織性付着に置き換わる(歯ぐきがしっかりしてくる)”良い連鎖が出来上がります。
歯周病の治療は、患者さんの協力がなければうまくいきません。谷口先生の医院には、何十年も通われている患者さんがたくさんいらっしゃるそうです。患者さんとの信頼関係ができているのだと思います。
当院も患者さんとの信頼関係をもっと築いていき、その人の人生に寄り添いながらお口の健康管理ができたらいいなと思っています。
歯科医院は痛くなったら行くのではなく、定期的にお口のチェックをし健康を維持していく場と考えていただけたらと思います。