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「歯内療法の未来と診査・診断」セミナーを受講しました

勤務医の森川です。今回は9月1日に静岡で開催された『歯内療法の未来と診査・診断』と題された講演会に参加した際のお話についてです。
講師は根管治療専門医として神奈川で開業されており、またデンタルアーツアカデミーという学術機関を主催されている寺内 吉継先生でした。
(デンタルアーツアカデミーのセミナーは当院の院長が何度も受講しております。私もそのうち受講したいと思っているのですが人気が高くなかなか受講できずにいます。)

今回の講演のテーマは主に以下についてでした
・日本の根管治療の状況について
・根管治療における診査・診断について
・感染根管治療の目的
・根管治療失敗の原因
・MTAについて
・破折器具除去
・レッジについて

今回のブログでは、この中の『感染根管治療の目的』と『根管治療失敗の原因』について説明していきたいと思います。
感染根管治療とは多くはかつて根管治療をされた歯が再感染した場合の治療のことを言います。
再感染の原因で最も多いのが詰め物・被せ物があっていない(フィットが悪い)ことによる微小漏洩=コロナルリーケージです。
なかには根管治療の既往がないが虫歯が進行して根管が感染し神経が死んでいる状態などもあります。

感染根管治療の目的とは、感染している細菌を除去・減少させること、そして再感染させないことになります。
感染・残存している細菌をまず除去するためにはこれまで入っていた被せ物や詰め物、土台を外した後に中に広がる虫歯を徹底的に除去することから始まります。

目で虫歯が取れたと思っていても、う蝕検知液(虫歯になっている所を特異的に染める薬)を使用すると中でかなり虫歯が拡がっているということが殆どです。
う蝕検知液で染まらなくなるまで虫歯を取り除くまでかなりの時間を割くことも往々にしてあります。

徹底的に虫歯を除去することで健康な歯が殆ど残らず将来的に歯が割れる(=破折の)リスクのほうが高いと判断した場合は根管治療ではなく抜歯を選択することや、また虫歯が歯茎より下に進行している場合には歯周外科処置を根管治療と併せて行うことを提案することもあります。
この虫歯を徹底的に除去するというのが感染根管治療を始めるにあたり最初の大事な過程になります。

続いて根管内の細菌の除去・減少ですがこの過程は器具を使用した機械的な除去と薬剤を使用した化学的な除去が重要になります。
そしてせっかく細菌を除去・減少することができても最終的な封鎖がきちんと行えていないとまた細菌の再感染を許してしまうことになります。

フィット(適合)の悪い詰め物や被せ物、咬合力に耐えられず劣化するような物を装着した場合はいくら根管の中をきれいにしても歯冠側からの細菌の侵入を許すことになってしまいます。

また根管治療が終了して被せ物が装着されるまで期間が空いてしまった場合も細菌の再侵入のリスクが高くなります(しっかりとした仮歯を入れていればそのリスクは軽減できます)。
このように根管治療後に適切な被せ物が装着されていないと根管治療の予後は悪いものになってしまいます。

寺内先生の講演会では毎回のように日本の根管治療(歯内療法)の現状についてのお話から始まります。ブログでも度々触れたことがありますが日本の根管治療は欧米のみならず近隣のアジア諸国と比較しても遅れを取っているというのが現状です。

高齢化社会を迎え医科に対する医療費は上がっているものの歯科に関する医療費は重要視されていません。そのため保険治療で適切な根管治療を行えるかというと無理に近いことで、行おうとするのであればボランティアであり、歯科医院が赤字を負うことになります。

詰め物や被せ物と違い患者さんからも見えないところであり、保険点数もかなり低く抑えられているため、手を抜いた治療が行われていることが多いのが現状です。残念なことに安かろう、悪かろうという事が多いです。

国民皆保険制度は素晴らしい制度ではありますが歯科で保険適応されているのは必要最低限の見た目と機能の改善程度であり、長期的な予後や審美性(自然観のある見た目)の改善等が考慮された制度ではないのが現状です。

国民医療費が高騰し医療費削減が急務な状況であるため、患者さんにとってのより良い歯科治療が今後、保険適応される可能性も期待しにくいと思います。

まずは根管治療が必要にならないよう痛くなったり何かトラブルが起きてから歯科医院に来るのではなく、定期健診を受け虫歯や歯周病という歯科における2大疾患の原因となる汚れをクリーニングできれいにすること、セルフケアにおける注意事項を確認すること、そして虫歯の状態や歯茎の状態を確認をすることが大事になると思います。

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