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歯周病・インプラント治療のセミナーに参加しました

勤務医の森川です。
今回は7月25、26日に参加したJIPIセミナーについてお話させて頂きたいと思います。
JIPI(Japan institute of periodontology and implantlogy)とは京都府京田辺市で開業されている牧草一人先生が主宰する歯周病治療とインプラント治療の研修を目的としたスタディーグループです。(JIPIについて詳しく知りたい方はこちらへ)

昨年5D-Japanファンダメンタルコースを受講し歯周病とインプラントについて学びましたが、より深く知識や技術を身に付けたいという想いがあり今回JIPIのセミナーを受講することにしました。

初回である今回のテーマは
『歯周病の歯を抜歯するか保存するかの判定基準』でした。
歯周病は歯石やプラーク(歯垢)といった細菌の塊が原因となり起こる感染症です。細菌が存在することにより歯の周囲の歯ぐき(歯肉)に炎症が起こり、初期の場合は歯肉からの出血や歯肉の腫れ、さらに進行した状態では歯を支える骨が吸収し歯の揺れ(動揺)や歯肉が腫れ膿が出るといった症状が認められます。

6年毎に厚生労働省が実地する歯科疾患実態調査によると、
平成23年における45歳から69歳の歯周病の罹患率は80%を超えるという驚くべき結果が報告されています。
軽度の歯周病であれば原因である細菌をスケーリングやSRPにより除去・減少することで歯肉の腫れや出血を改善することができます。
また重度の歯周病で例えば歯を支える骨が歯の根(歯根)の先(根尖)まで吸収している場合は歯を残すための手段はなく、抜歯という判断になります。
しかし、その間の中等度の歯周病に罹患している場合は抜歯するのか保存するのか、また保存するためにはどのような治療方法を行うべきなのか非常に判断が難しくなります。

歯周病のテキストには抜歯となる歯の基準として、
①歯根を覆っている骨の吸収が75%以上
②歯周ポケットが8㎜以上
③歯を動かすと縦にも横にも揺れてグラグラする
④歯根を覆う歯肉が2/3以上下がっている
⑤頻繁に歯肉が腫れる
⑥分岐部(奥歯の歯根が二股・三股に分岐しているところ)まで感染している
という項目が挙げられています。
この項目に当てはまる歯というのは状態としては非常に厳しい
ですが、当てはまるから必ず抜歯だと判断するには疑問が残ります。

まず1つ目の理由として歯根を覆う75%以上の骨とありますがレントゲン写真やCT撮影を行っても正確に骨の吸収量を計測することはできませんし、急性炎症が起きている場合や咬み合わせの負担が大きく加わっている場合はより吸収された像として写ってきます。

また2つ目として歯周ポケットは歯の周り360度に存在しますが、1箇所でも8㎜以上のポケットが存在したら抜歯と判断するのかという問題です。また、歯肉の腫れが頻繁に起こるという項目も非常に曖昧です。

そして最後に歯周病だけではなくお口の中全体をトータルで見た場合、歯並びや咬み合わせの問題を抱えている、また歯周病だけではなく深い虫歯や歯根の中の感染(根尖病変)といった問題を抱えている場合など様々な問題点を総合的に考慮して判断する必要があると思います。

お口の中の問題だけではなく重篤な状態の歯を保存するためには再生療法といった歯周外科処置(詳細はこちらへ)が必要となるため費用、期間、また治療に対する意思という個人が置かれている状況というのも不可避な問題となります。
同様に歯が残せず抜歯となった場合も、その後の治療方法によっては費用、期間という問題が関わってきます。

牧草先生は歯周病治療を成功に導くための最大のキーポイントは『早期発見・早期対応』であるとお話しされていました。
歯周病の治療は状態が悪くなればなるほど治療内容は複雑になります。

より治療内容をシンプルに、かつ皆様にかかる負担を少なくするためにも定期健診に来て頂きお口の中の状態(磨き残しの状態、歯肉の炎症の状態、虫歯の有無、咬み合わせの状態など)を定期的に確認することが非常に重要となります。

何か困ったことがないと足が向かない歯科医院という場所ではありますが、健康な生活をより長く過ごして頂けるように共に歩んでいきたいと思います。

jipi

上の写真はセミナー中のものです。
これから来年にかけて歯周病の歯を保存するための歯周外科処置やインプラント治療について学んでいきます。
『他人に脳を預けるな』と牧草先生が何回か繰り返しお話されていました。
講義や実習で習ったことをそのまま鵜呑みにせず、一度自分で熟慮して、疑問に思ったことは調べ、そこから実践していけという意味だそうです。
私もこのコースを通じて学んだことを自分というフィルターを通しブラッシュアップさせ、皆様に一つでも多く還元できるよう励みたいと思います。

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