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5-D japan ファンダメンタルコース ペリオ・インプラント第3回

勤務医の森川です。今回は8/24、25に行われた5-D Japanファンダメンタルコース(ペリオ・インプラントコース)の第3回目に参加した時のことについてお話しさせて頂きます。

これまでに主に歯周病についてと、重度の歯周病に対する治療法の一つである外科的な歯周病治療(歯周外科治療)について学んできました。
今回も引き続き歯周外科治療とインプラント治療について学んできました。興味のある方は前回の記事ご覧下さい。

歯周外科治療とは簡単に言うと歯茎をメスを使って切る(切開する)治療ですが、方法は目的により大きく4つに分類されます。
(1)組織付着療法
(2)切除療法
(3)歯周組織再生療法
(4)歯周形成外科

(1)組織付着療法
深い歯周ポケットの原因となった歯の根の表面についている歯石や汚染された組織を除去することを目的とした方法です。歯周病治療ではスケーラーと呼ばれる歯石を取る専用の道具を歯周ポケット(歯と歯茎の溝)に入れて歯石を除去していきますが、歯周ポケットが深い場合ではスケーラーが深いところまで到達しにくく、また根の表面に付いている歯石は目で確認することが出来ず、手指に伝わる感覚を頼りに行うため十分にきれいにすることが難しくなります。そこで歯茎を切って開くことにより器具が到達しやすくなり、また視野も確保されるため歯石を効率よく除去することが可能になります。

(2)切除療法
歯周病が進行して深くなった歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)を切除することによって歯周ポケットを浅くする目的で行う手術です。歯周病の原因となった歯石の除去だけではなく、周りの骨の形態も整えることによって生体にとって適切な歯茎・骨の状態になるようにしていきますので深い歯周ポケットの再発の可能性は組織付着療法よりは低くなります。

また歯周病だけではなく、深い虫歯が認められる場合にも用いられます。「虫歯の治療と歯茎が関係するの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、虫歯が深い場合では歯茎の治療も併せて必要になることがあります。特に被せ物が入っている場合では元々残っている健康な歯の部分が少なく、再度虫歯になると健康な歯が殆ど残っていないということが多く認められます。治療に携わっていてよく遭遇するのは、歯茎よりも深い部分に虫歯が進んでいるケースです。虫歯を取り除いた後、残っている歯の部分が少ない場合は再び機能させる(咬めるようになる)ことが難しいため残念ながら抜歯の対象になりますが、歯周外科治療を行えば残せると判断した場合は歯を残すよう努力します。
では何故歯茎を切る必要があるかについてですが、
・歯茎の下にある虫歯を確実に取り除く
 ・被せ物を入れるための型取りの精度を向上させる
 ・被せ物を入れた後、清掃しやすい環境にする
 ・被せ物を外れにくくする
などの理由が挙げられます。

(3)歯周組織再生療法
歯周病が進行すると歯を支えている骨が吸収されていきますが、吸収された後の骨は様々な形態を呈します。同じお口の中でも歯の部位によって骨の形態は異なってきます。歯周組織再生療法は骨の吸収が歯に対して垂直方向に著しく、骨の形態が谷状となっている部位に行うと効果的な治療で、歯周病により失われた歯の周りの組織が再生することを期待して行います。組織の再生を促す薬剤(エムドゲイン®)を併用していくものや、人工骨や特殊な膜を併用する方法(GTR法)が該当します。

(4)歯周形成外科
この方法は歯茎の形態に問題があって見た目(審美性)が悪い場合、または歯茎や粘膜の形態に問題がありブラッシングがしにくい環境となっている場合などに行う方法です。例えば歯茎がやせて薄くなった、或いは歯茎が下がり歯の根元が見えて見た目が悪く、また歯ブラシを当てにくくなってしまった場合などに別のところから歯茎の一部分(結合組織)や歯茎を必要な分だけ切り取り移植する結合組織移植術や遊離歯肉移植術が歯周形成外科に分類されます。

このように歯周外科治療を行う際は、様々な治療の中から目的に応じて方法を選択することになります。今回の実習では『歯肉弁根尖側移動術(APF)』と『遊離歯肉移植術(FGG)』について学んできました。特に歯肉弁根尖側移動術は「(2)切除療法」で説明させて頂いたように深い虫歯がある場合に行う方法で、必要となるケースが非常に多いのが実際です。

「歯茎を切る」とお話すると抵抗を感じる方がいらっしゃるのは当然のことだと思います。外科的な治療になるため治療後に痛みや腫れが出ることもありますし、歯茎の傷が治るまでの間(多くは2ヶ月程度)待つ期間が必要になります。しかし、一時的な痛みや長い人生における数ヶ月を頑張って頂くことで、その歯の寿命を外科的な治療を行わなかった時よりも長くすることが出来るのであれば非常に価値が高い治療だと思います。

歯を抜くことは簡単ですが状態の悪くなっている歯を残すためには必要となる治療は多く、そして期間は長くかかる傾向にあります。気になるところがあるけれども歯科医院に足が向かず放置しているという方も多くいらっしゃるかと思います。もし当院にご興味がございましたら来院して頂き、歯を残す為に必要な治療、そして歯がを長持ちするために必要な治療について提案させて頂ければと思います。また、そのために必要な知識や技術についてこれからも研鑽していきますので宜しくお願い致します。

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