5-D japan ファンダメンタルコース エンド・修復第2回
勤務医の森川です。
今回は7/19、20に行われた5-D Japanファンダメンタルコース(エンド・修復コース)の第2回目に参加した時のことについてお話しさせて頂きます。
第2回目のテーマは根管治療についてでした。
根管治療とは主に虫歯が深く神経まで達していた場合の神経を取る治療(抜髄治療)や、神経の処置をした歯の根の中が細菌感染し、根の先に炎症が起こった場合の再治療(感染根管治療)のことで、いわゆる『根の治療』と呼ばれる治療のことを指します。
これまでスタッフブログで何回か根管治療について書いてきましたが、根管治療には3つの重要なコンセプトがあります。
それは
(1) 細菌の除去、減少
(2) 無菌的な治療
(3) 根管の封鎖
です。
(詳細について知りたい方はこちらの記事をお読み下さい)
今回はこの中で『無菌的な治療』を行うために必須である
ラバーダム防湿(以下ラバーダム)と『細菌の除去、減少』のための根管拡大・形成について実習を含め学んできました。
ラバーダムとは、下の写真の様に根管治療を行う歯をゴムのシートで隔離することにより唾液中に含まれる無数の細菌が根の中に侵入することと、また治療に使用する薬液がお口の中に漏れることを可能な限り防ぎます。
欧米では根管治療の際にラバーダムを行うことは当然のこととされており、
『No rubber-dam, no endodontic treatment.』
(ラバーダムをしないのであれば根管治療を行うべからず)
とまで言われていると耳にしたことがあります。
それほど根管治療を無菌的に行うために重要であるラバーダムですが、残念ながら日本の殆どの歯科医院で行われていないのが現状です。
理由としては保険制度からラバーダムという項目がなくなったこと、そしてラバーダムを行うことによる時間的な制約、ラバーダムを装着する器具で不快感を与えてしまうこと等が考えられます。
そのためか日本における再根管治療(感染根管治療)の割合は非常に高く、医療先進国とされている日本でも根管治療の分野では大きく差をつけられているのです。
日本で一般的な簡易防湿とは治療する歯の横にロール状の綿を置き、その綿に唾液などの水分を吸わせることで乾燥状態を得る方法です。綿だけでは唾液の侵入を防ぐことは全くもって不可能ですし、また根管治療中に綿を外しうがいする際に唾液中の細菌が大量に根の中に侵入することになります。
当院ではラバーダムの他にオプトラダム等を使用し防湿に配慮して根管治療を行っておりますが、今回の実習でラバーダムの重要性を改めて認識し、より確実に、そしてより安全にラバーダムを行うことを確認する機会になりました。
これまでにラバーダムをされたことのない方に取って慣れるまで不快感を覚えるかもしれませんが、根管治療を行うにあたり非常に重要な過程になりますのでご理解とご協力をお願い致します。