ルートキャナルトリートメントセミナーを受講しました
6月1日に東京の品川にあるKaVoのセミナールームにて
中村 健太郎先生のルートキャナルトリートメントセミナーを
勤務医の森川と一緒に受講しました。
ルートキャナルトリートメントとは、いわゆる『根管治療』のことです。
今回の講演は『最新ヨーロッパの一般開業医におけるエンドドンティックセラピー(根管治療)を紹介する』というものでした。
以前の私のブログで紹介しました、GCセミナーの根管治療(知りたい方はこちらへどうぞ)やペントロンセミナーの根管治療(知りたい方はこちらへどうぞ)はペンシルバニア大学の歯内療法学講座(根管治療を専門に教えている講座)の考え方をベースにした根管治療のセミナーです。いわゆる北米の根管治療の考え方・方法です。
今回のセミナーはヨーロッパの一般的な根管治療の考え方・方法です。
北米の根管治療の考え方も、ヨーロッパの根管治療の考え方も、枝葉には多少の違いがありますがベースとなる幹の部分に関しては大きな差はありません。
根管治療の原因は細菌感染=感染症なので、それに対して処置をしていく。つまり、感染源を除去すること、感染を拡大しないようにすること、という根幹(ベース)の部分に対しては全く同じ考えです。
違うのは、それに対するアプローチの仕方です。
たとえるなら、富士山の登頂と同じです。静岡側の富士宮ルートあるいは御殿場ルートや須走ルートから登っても、山梨側の吉田ルートから登っても山頂につきます。
登るルート、つまり根管治療のアプローチの仕方は違っても、山頂のゴールつまり、良好な治療結果を目指す点は同じです。
今回のセミナーでは、根管の形態を正確に把握するために歯科用CTの活用は欠かせないということをお話しされていました。
私も確かにその通りであると考えています。従来のレントゲン写真では、2次元で状態がわかりにくいため、経験やカン、推測に頼ることが多かったのですが、歯科用CTを撮影することで、かなり詳しくわかることがあります。
あるデータによると、一本の歯に対する『歯科用CTからの情報を100』とした場合、お口全体を移すいわゆる『パノラマレントゲン写真の情報は20~30』、『従来のレントゲン写真の情報は約50』です。
つまり、歯科用CTからわかる歯の情報量は従来のレントゲン写真の倍以上なのです。
情報が少ない状態で治療するよりも多くの情報をわかったうえで治療するほうが良い結果になる可能性が高くなります。
もちろん、被爆の問題もありますが、現在の歯科用CTはかなり低被爆の機種が多いです。当院にある歯科用CTはかなり低被爆の機種です。
そのうえ、2014年現在、日本で発売されている機種の中で、最もスライス幅が小さいものです。スライス幅が小さいということは、より細かく見えるということです。ちなみにスライス幅は約76ミクロン(マイクロメーター=μm)です。
一般的な歯科用CTのスライス幅は100~200ミクロンです。
※1mm=1000μm(マイクロメーター=ミクロン)
1cm=10mm=100000μm
また、歯科医院ではなく、一般的な病院に設置されている医科用のCTのスライス幅は500~10000ミクロン(=0.05~1.0㎝)です。当院の歯科用CTについて詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。
歯科用CTだけでなく、マイクロスコープを活用することの重要性もお話していました。こちらに関しても、その通りです。根管の中や状態は、肉眼ではほとんど見ることができません。しかし、マイクロスコープを使用することではっきりとみることができます。みえることによって、今まで見逃されていたことなどに気が付くこともできます。
静岡県あるいは静岡市での歯科用CTやマイクロスコープ(治療用顕微鏡)の普及率はそれぞれ5%未満です。両方がそろっている歯科医院は3%未満です。患者さんにより良い歯科医療が提供されるようにもっと普及することを願っています。
それと、超音波器具の活用に関してもお話しされていました。超音波器具を活用することで、従来よりも確実に根管内をきれいにすることができます。根管内がきれいになるということは、感染源の除去・減少ができます。
根管内がきれいになり、感染物質が除去されると、生体の免疫力(抵抗力)がしっかり働いて治癒の傾向に向かいます。
虫歯が深く初めて神経を取る歯では、根っこの先に病気を作らないようにすること=予防的根管治療
かつて神経を取った歯で、根っこの先に病気がある歯に対してはその病気を治療する=治療的根管治療
以上のことを今後もしっかりと患者さんに提供し、長持ちする治療(再治療になりにくく、永続性のある治療)を目指します。そのために、今後も治療に関する情報をアップ・デートし、研鑚を積んでいきます。
当院の根管治療に関して知りたい方はこちらへ