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5-D Japan ファンダメンタルコース -ペリオ・インプラント−

勤務医の森川です。
現在、4月より開催されている5-D Japanファンダメンタルコースに参加しています。
5-D Japanは
・歯周病治療
・インプラント治療
・審美歯科治療
・根管治療
・マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を活用した治療
各分野における5人のエキスパートがファウンダーとなり発足したスタディーグループであり、これから約一年間に渡り講義、実習を通して基礎的な知識から応用的な臨床技術を学んでいきます。5人のファウンダーのうち、2人は静岡県西部で開業しています。静岡市からの参加者は今期は私だけでした。5-D Japanについて詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。

第1回目は歯周病に関する以下の内容についてでした。
・歯と歯周組織の健全な関係
・歯周病の成り立ち
・診査方法(ポケット診査、口腔内写真、レントゲン)
・歯周初期治療(スケーリング、ルートプレーニング)
・歯周外科(主に切開、縫合について)

今回は歯周病の成り立ち、特に歯周病の発生・進行と細菌との関係についてお伝えしたいと思います。

歯周病の成り立ちについてですが、歯周病は細菌の塊であるプラーク、歯石が原因となって起こることは多くの方がご存知だと思います。プラーク1mgには1億から10億個もの細菌が存在し、その種類は約800種類と言われています。
そして、すべての種類の細菌が同じ様に悪さをするのではなく、歯周病の発生・進行に強く関係するものからあまり関連性のないものまで様々です。

まず病原性は低い(歯周病への関連が低い)細菌が歯に付き、プラーク(歯垢=ばい菌の固まり)を形成します。このような段階では歯茎が赤味を帯びる、出血するといったいわゆる歯肉炎の症状が認められます。この段階でプラークを取り除き、また自身でお口の中をキレイに清掃できるようになって頂ければ症状は改善していきます。

しかし出来なかった場合、このプラーク(歯垢=ばい菌の固まり)の周りにさらに細菌が集まりバイオフィルムを形成していきます。

バイオフィルムとは、細菌同士が集まってスクラムを組んででどこかにへばりついている状態のことです。キッチンのシンクや風呂場の浴槽を掃除しないで放っておくとヌルヌルとしたものが表面につきますが、これもバイオフィルムの一種です。歯の表面にべったりとくっついた成熟したプラークはまさに典型的なバイオフィルムです。

この状態になるとセルフケアだけできれいにすることが難しく、歯周ポケット(歯と歯の周りの溝)が形成されるようになります。この段階でバイオフィルムを除去することが出来れば歯周病への移行を防ぐことが可能です。しかし除去することが出来なければ、バイオフィルム中の細菌たちは病原性の高い(歯種病への関連が強く、悪さをする)細菌にサインを出し、集めようとします。この段階になると歯周病へと移行し歯周ポケットがさらに深くなる、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収されるなどの症状が現れてきます。

また、歯周病は一定の速度で進行するのではなく、何も症状がない休止期と歯の周囲の組織を急激に破壊する活動期とを繰り返して進行していきます。活動期の時期を予測することが可能であれば歯周病の進行を止められますが、残念ながら現在予測する手段がないため重要となるのは、
歯周病に移行する前にバイオフィルムを除去すること
定期検診(メンテナンス)を受け、活動期が起こりにくいようにすること
の二点になると思います。

歯周病は長い年月をかけ、なかなか症状が現れないまま進行する感染症です。(高血圧や糖尿病と同じく自覚症状に乏しい生活習慣病です。)歯茎が痛い、腫れた、歯がグラグラするといった症状を自覚する時には歯周病はかなり進行している状態であることが多いです。

痛みや症状がないと歯科医院に足が向かない方も多くいらっしゃるとは伺いますが、一度歯茎の状態をチェックに来て頂ければと思います。

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