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SJCDマイクロエンドコースを受講しました

2016/11/17

勤務医の森川です。
今回は2月20,21日に参加したSJCDマイクロエンドコース(ベーシック)についてお話させて頂きたいと思います。
SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)は歯科の世界で一番会員数が多いと言われているスタディグループです。

SJCDではインターディシプリナリーアプローチを推奨しています。インターディシプリナリーアプローチとはある患者さんの治療に対して、補綴治療(被せ物の治療)・修復治療(詰め物の治療)・根管治療(根の治療)・矯正治療(歯並びの治療)・外科治療 の専門家が知識を出し合い、無駄や重複のない治療計画を立て、それぞれの専門の領域の治療を担当し、合理的なゴールをめざし協力して学際的な治療を行うことをいいます。
要約すると、患者さんのために各分野の専門家(補綴治療・修復治療・根管治療・矯正治療・外科治療)が連携し力をあわせてレベルの高い治療ゴールを目指すことを言います。

しかし、日本の現状では(特に地方都市においては)各分野の専門家(補綴治療・修復治療・根管治療・矯正治療・外科治療)に対して患者を紹介することに限界があり、単独でこのような治療を進めなければならないことが多いです。

今回はその分野の一つである根管治療について東京の御徒町で開業されている岡口守雄先生に学んできました。

歯科治療は肉眼下で行われていることがまだまだ多いです。
最近では、拡大した視野での治療がそこそこ普及し、拡大鏡(ルーペ)を使用して治療を行う歯科医師も以前より増えてきました。
拡大鏡(ルーペ)を使用することで拡大された視野下で修復治療、補綴治療、外科治療などの治療する部位を直接、或いはミラー(鏡)を用いて間接的に確認することができます。

根管治療の対象となる神経・根管は歯の内部に存在しており、また複雑な形態を呈しています。

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オレンジ色の部分が歯の神経(≒根管)

歯の種類によって根管の数も異なり、奥歯になると個人によって根管の数は様々で形態も曲がったり分岐したり非常に扱うのが困難になります。
このような根管を肉眼のみで確認し、治療する(触る)ということは根管の実態をほとんど掴めないまま手の感触や経験を頼りに治療にあたっているといっても過言ではないと思います。
もちろん根管に器具を入れている際の根管の感触の違いを判断することや経験も非常に重要なことです。
しかし私は歯科学生時代に根管治療の実習を行った際、『目に見えないものを治療をする』という不確実な行為に不安を覚えました。そしてそれが根管治療に対して興味を持つきっかけとなりました。

見えない根管の実態を把握する手助けになるのが歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)と歯科用CTです。今回のセミナーではマイクロスコープを使用した根管治療について実習を受けてきました。

肉眼で見える状態マイクロスコープで見える状態の違い
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上の写真は歯の内部にある根管の入り口(根管口)を肉眼とマイクロスコープで見たものの比較です。この写真では既に根管口を器具で拡げた状態なので肉眼でもそこそこ確認しやすいです。
しかし、実際まだ治療されていない根管ですとさらに小さく細く、年齢を重ねた根管は石灰化し細くなります。虫歯が深く慢性的に進行した場合も根管は石灰化し細く変化します。こうした根管は根管口自体を見つけることも難しく、治療されないままになっていることもあります。肉眼だといかに見えていないかということがよくわかります。

歯の内部に存在する根管はエナメル質、象牙質といった硬組織で守られている元々は無菌的な空間です。それが虫歯になるとエナメル質、象牙質へと感染が拡がり、根管まで波及していきます。(以前講演で聞いた話によるとエナメル質に浅い虫歯ができただけでも根管の上部では炎症反応が起きているそうです。)

初めて神経の治療を受ける(抜髄治療)の場合では細菌感染は根の先端(根尖)までは到達しておらず、ラバーダム防湿といった環境下で細菌を多く含む唾液が根管に入らないように配慮して治療を行った場合は未治療の根管があっても特に問題はないと言われています。

実際根管は単純な形態ではないので網目状になっているところは器具では触れられずきれいにすることは不可能ですし、約40~50%程度しか器具で触れることができないという研究報告もあります。

しかし触れられないところが存在しても薬剤できちんと洗浄をして根管内の細菌を除去、減少させること、そして新たに細菌を根管内に侵入させないということを遵守するのであれば後は体の免疫機構で治してくれます。

根管治療の再治療(感染根管治療)の場合では根尖まで細菌が侵入しているため見落としの根管があると感染源を取り残したままとなり症状の改善が期待できなくなってきます。
また侵入した細菌ですがその分布は根管口付近に最も多く存在し、根尖に近づくにつれて数は少ないと言われています。

従って、根管治療を行うにあたり予めCT撮影を行い根管の数や位置、根管の方向、分岐を予測すること、そしてマイクロスコープを用いて根管口部に存在する感染源を除去することが重要であると思います。

またマイクロスコープは肉眼では確認することのできない根管の構造物(イスムス、フィン)や偶発的な形態(穿孔、亀裂、破折など)を確認するにも非常に有用ですが、反面根管が湾曲した先を見ることはできません。
ただし肉眼下で見えないものを不確かな状態、手探りの状態で治療するよりも遥かに多くの情報を与えてくれます。マイクロスコープを有効に利用し皆様の治療に還元していきたいと思います。

下は実習中の写真とセミナー後に講師の岡口先生と記念撮影したものです。実習は一人一台マイクロスコープを使用して行いました。

バージョン 2

実習中

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講師の岡口先生と私(森川)

受講生の方々は既にマイクロスコープを使用して治療されている方、近いうちに導入される方と根管治療に対する意識の強い先生ばかりでとても刺激を受けました。
根管治療は被せ物の中の治療であまり重要視されていない考えの方もいますが、見えないところだからこそ誠実に治療に励みたいと思います。

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