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5-D japan ファンダメンタル ペリオ・インプラント第5回−2

2016/11/08

今回の講義でこの問題を解決する糸口となるような興味深い文献を教えて頂いたので紹介したいと思います。

Lundgrenらが2008年にPeriodontology 2000に発表した
To save or to extract, that is the question.
Natural teeth or dental implants in periodontitis susceptible patients: clinical decision making and treatment strategies exemplified with patient case presentations

という文献で、重度の歯周病を有する方に対する臨床的意思決定と治療戦略について臨床例を挙げながら説明しています。

この文献では、歯とインプラントの長期的な経過を追ったところ、どちらも同じ様な生存曲線を辿るのではないかと書かれていました。

その理由の一つとして元々生えている歯は年齢を重ねる毎に歯周病に罹患し、抜歯に至るリスクが高くなります。
一方インプラントは歯周病に罹患しないかというと、インプラントも歯と同様に歯周病の様な状態になるリスクがあります。

インプラントが歯周病と同じような病態になることをインプラント周囲炎と言い、歯周病と同じく細菌感染などが原因で起こり、インプラント周囲の歯肉の炎症やインプラントを支える骨の吸収を招きます。またインプラント周囲炎は元々歯周病を有する方において発症する可能性が高いとも言われています。

こうした理由より、歯周病に罹患した歯もインプラントも下の図の様に同じ様な曲線を描くようにして骨の吸収が起こり、保存できない状態に至るという説明がされていました。

zu1
(クリックすると拡大します)

上の図1から一つの例を示すと
20歳で歯周病を発症した方が歯周病治療を特にせず40歳になった時、歯を支える骨の約50%が失われた状態となり、いよいよ抜歯することになったとします。
そして抜歯した部位にインプラント治療を行った場合、その後インプラントも同じ様な生存曲線を描いて経過していくのであれば、そのインプラントは70歳まで使えるということが予測されます。

しかし、歯周病の歯に対して治療やメインテナンスを行うことによりこの生存曲線のカーブを緩やかにする事ができます。
下の図2をご覧になって下さい。
赤い線は歯周病の発病後、歯周病治療やメインテナンスに通わずに過ごした場合を、
紫の線は可及的な範囲での歯周病治療を行った後にメインテナンスに通った場合の、
緑の線は可能な限りの歯周病治療を行った後にメインテナンスに通った場合の生存曲線になります。

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(クリックすると拡大します)

図1と同様に20歳で歯周病を発病した後、特に歯周病治療を行わなかった場合では40歳で歯を支える骨の約50%が吸収されることになりますが、30歳で歯周病治療とメインテナンスを行うことにより骨の吸収のスピードが緩やかになっていることがご理解頂けると思います。

歯周病という疾患は、失われた組織(特に歯を支えている骨)を何もせずに元通りにすることは不可能です。そして治療を行っても完全に元通りにすることが不可能な病気です。

図2の緑の線のように可能な限りの歯周病治療を受け、そしてそれが成功した場合では抜歯に至らず、インプラントにもしなくて良いかもしれません。

しかし図2の紫の線のように可及的に歯周治療を行った場合では進行のスピードを遅くすることが出来たとしても、歯周病の発病の年齢が早かったり、また歯周病治療の介入する時期が遅かった場合ではいずれ抜歯を想定しなくてはならないこともあります。

抜歯となった場合、失った歯の本数や残された歯の状態にもよりますが、その後の治療方法として大きくわけてブリッジ、入れ歯(義歯)、インプラントが挙げられます。

また歯周病が重度の方ほど多数歯に渡る抜歯が必要となることが多いため、どうしても治療計画の中に入れ歯、あるいはインプラント、さらに矯正治療を含めていかなければならなくなる傾向にあります。

インプラント治療を選択された場合は自由診療になるため費用もかかりますし、骨の吸収が著しい場合はインプラントを入れる為の骨を造るところから始めていくとなると期間も長くかかってきます。
費用、期間に自由がきく、きかないは個人のライフステージによるところが大きい為、治療をする意思があっても断念される方もいらっしゃいます。

しかし積極的な治療をすぐに行うことができなくても、将来的に治療をするという意思があるのであればそれまでの間、可及的に状態を現状維持していくため継続したメインテナンスを行い、準備が整ったら無理矢理もたせていた状態の悪い歯を抜歯し、インプラントに置き換えていくという治療を進めていくという方法も考えられます。

この文献に出会うまでは重度の歯周病の方に対し外科的な処置を行い保存するか、それとも抜歯をするのか決めなくてはならないと悩んでいましたが、現在では患者様個人の意思、希望、ライフステージを総合的に考慮して保存するのか、抜歯をするのか考えるようになりました。

前にも書きましたが、歯周病は人類史上最も感染者の多い感染症とギネスブックに記載されている疾患です。
恐らくまだまだ人類はこの歯周病と戦っていかなければならないと思います。

5-D Japanファンダメンタルコース(ペリオ・インプラントコース)で学んだことをベースとして、さらに知識、技術ともに研鑽を積み歯周病に悩んでおられる方の助けに少しでもなれるよう今後とも頑張っていきたいです。

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