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5-D japan ファンダメンタルコース エンド・修復第3回

2016/11/08

勤務医の森川です。今回は9/14、15に行われた5-D Japanファンダメンタルコース(エンド・修復コース)の第3回目に参加した時のことについてお話しさせて頂きます。

第3回目のテーマは前回に引き続き根管治療についてでした。根管治療とは主に虫歯が深く神経まで達していた場合の神経を取る治療(抜髄治療)や、神経の処置をした歯の根の中が細菌感染し、根の先に炎症が起こった場合の再治療(感染根管治療)のことで、いわゆる『根の治療』と呼ばれる治療のことを指します。

前回は根管治療を無菌的に進めるために必要な防湿処置(ラバーダム防湿など)と、根管内の細菌を除去・減少するために行う根管拡大・形成についてでしたが、今回は複雑な形態を有する奥歯(大臼歯)の根管拡大・形成、そして根管洗浄(根管の中を薬剤を用いてきれいにすること)、根管充填(きれいになった根管の中を歯科材料で封鎖すること)についての内容でした。

これまでブログをご覧頂いている方は既にご存知かもしれませんが、根管治療における3つの重要なコンセプトの内、
根管拡大・形成と根管洗浄は『細菌の除去・減少』を
根管充填は『根管の封鎖』を達成するために行うステップです。(詳細について知りたい方はこちらをお読み下さい)
特に根管洗浄は根管治療において非常に重要な過程となります。

歯の中がどのような形態をしているか皆様は想像することができますか?
実際のところ私達歯科医師でもCTを撮影することによりある程度の形態をイメージすることは可能ですが、正確に把握することはできません。下の写真(上の奥歯)をご覧になって分かるように、根管は1本道が途中で分かれたり、2本の道が途中でつながったり、網目状になっていたりして非常に複雑な形態を呈します。

shinkei

このように複雑な根管の中をファイルと呼ばれる器具を使ってきれいにしたり、根管充填出来るように形を整えたりしていきますが、どうしても触ることのできない部分が生じてきます。文献によると根管の中に器具で触れないところが平均して38%存在すると言われています。こうした触れられないところをきれいにするために必要となるのが『根管洗浄』で、一度感染した根管内の細菌を除去・減少させるために非常に重要な治療過程になります。

実際どういったことを行うかと言いますと、根管内に薬剤を満たし中を洗浄していきます。また超音波装置などを併用し、根管内で薬剤を還流させ薬剤の効果を高めることも行います。
根管洗浄に用いられる薬剤は数種類あり目的に応じて使い分けていきますが、その主役を担うのは次亜塩素酸ナトリウムとEDTA(ethylene diamine tetraacetic acid)の2つの薬剤になります。まず次亜塩素酸ナトリウムですが、これには殺菌消毒作用があり根管の中の細菌を除去・減少させるために有効な薬剤です。また有機質を溶解する作用もあるため根管の中の残っている歯髄組織(いわゆる歯の神経)などを溶解することも期待して使用します。それに対してEDTAは無機質を溶解する作用があります。根管内にファイルと呼ばれる器具を使うと削りかすがでてきますが、この削りかすは主に無機質で構成されています。この削りかすをきちんと取らないまま治療を続けると、根管の中の壁が次第に目詰まりを起こし、また次亜塩素酸ナトリウムの浸透も低下してしまいます。従って、EDTAでこの削りかすを溶解してから、次亜塩素酸ナトリウムで洗浄することにより効果が高まるのです。

この2つの他に現在日本ではオキシドールが根管洗浄剤としての使用が認められています。そして多くの日本の歯科大学・歯学部で、次亜塩素酸ナトリウムとオキシドールを併用した洗浄を教えています。しかし、次亜塩素酸ナトリウムとオキシドールを併用した時の洗浄効果については未だ立証されてはいません。

また当院では次亜塩素酸ナトリウムでは殺菌できない細菌に対して効果を示すと言われているクロルヘキシジンやクロルヘキシジンが配合されたEDTA溶液の『Q-Mix 2 in 1』や抗菌薬(抗生物質)を含む『MTAD』を必要に応じて根管内の洗浄に使用し、出来る限り根管内の細菌を除去・減少するよう心掛けています。(『Q-Mix 2 in 1』、『MTAD』は日本国内で販売されていない為、使用は自由診療における根管治療に限られております。詳しく知りたい方はこちらをお読みください。)

このように薬剤を目的に応じて使用していきますが、使い方を誤れば負の作用を起こしてしまいます。それぞれの薬剤の効果を最大限発揮できるよう、適切な使用方法(例えば濃度や作用時間、使用するタイミングなど)を今回のセミナーで改めて確認することができました。
根管洗浄に限らず使用する器具・材料の持つ特徴を理解し目的に応じて使い分けることはとても基本的なことですが非常に重要な事です。
歯科の分野においても毎年、数多くの器具・材料・薬剤が開発されています。新しい器具・材料を理解し、その中から必要なものを選択し治療技術や知識をブラッシュアップすることはとても大事なことです。これからもセミナー参加で自分自身をバージョンアップさせ、得られた知識や技術を日々の診療で活用できるよう頑張っていきたいと思います。

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